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活用事例レポート

広葉樹林化への道

2018.2.23

広葉樹林化を如何に成功に導くか。

4コマ_20180223

 ● 広葉樹林化とは?

広葉樹林化は、針葉樹人工林を天然更新等によって、広葉樹林や針広混交林に転換していくことです。主に、立地条件が不利で経済林として維持してくことが困難な植林地を、新たな価値を発揮させられる森林に誘導することが広葉樹林化の目的です。
木材生産を目的としないため、造林や育林コストを抑えられるメリットがありますが、人工林を伐採して放置しておけば自然に広葉樹林になる、という簡単な技術ではありません。

 ● 成功のカギは?

天然更新は自然条件に大きく左右される不確実性の高い更新方法です。
広葉樹林化を行う際に重要なことは、まず、その森林が天然更新できる可能性があるのかを判断することです。条件によっては、どうしても天然更新できない森林があります。

【稚樹・種子供給源の有無】

天然更新によって広葉樹林化するためには、そもそもそこに広葉樹がなくてはなりません。対象林分内に広葉樹の稚樹が既に侵入しているか、種子散布距離内に種子供給源となる広葉樹がある必要があります。

【競合植生対策】

対象林分に広葉樹稚樹が存在しても、ササ等の競合植生に被圧されると枯死してしまいます。競合植生が繁茂している林分では、刈り払い等により競合植生を除去しなければ、天然更新の可能性は大きく低下します。

【シカ対策】

シカが生息している地域では、対象林分内にせっかく侵入してきた広葉樹稚樹が食べられて枯死・消失してしまいます。シカの影響が懸念される地域では、シカ柵設置等の対策を講じなければ天然更新は難しくなります。

【光環境】

天然更新を成功させるためには、競合植生に負けず且つ稚樹の成長を促す光環境を創出する必要があります。天然更新のためには、20~35%程度のGLI(ギャップ光指数)を目安に間伐していくことが適当だといわれていますが、樹種や立地、競合植生の状態等によって間伐率や施業回数を調整する必要があります。

 

天然更新による広葉樹林化を成功させるためには、PDCAに基づく施業の実施が重要です。モニタリング調査と更新状況の評価を繰り返し、必要に応じて施業方法を見直しながら進めていくことが大切です。

 ● これから必要なこと。

天然更新に関する知見はまだ十分に集まっているとは言えず、現在もデータを集積し技術を磨いている段階です。
様々な自然条件化で実際に誘導を行っている現場の情報を蓄積し、分析に基づいた施業方法の検討と実践が重要となります。

 

広範囲・長期間に渡るモニタリングデータの蓄積はクラウドの得意分野!