森林の未来を導く 森林情報サイ 羅森盤

キャラクター紹介

お問い合わせ

活用事例レポート

祝 モントリオール・プロセス20周年

2016.11.4

モントリオール・プロセスって?

4コマ_20161111

 ● 目的

森林・林業の置かれている状況を、科学的かつ客観的な「基準・指標」を用いて適切に把握し、それらを森林政策の企画・立案・実践等に活かすことで持続可能な森林経営を推進していくことを目的とした取り組みです。

● 経緯及びこれまでの取組

1992年の地球サミットでの「森林原則声明」等の採択を踏まえて、1993年にモントリオールにて、欧州を除く温帯林等諸国12カ国(カナダ、アメリカ、メキシコ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、ニュージーランド、オーストラリア、韓国、中国、ロシア、日本)で持続可能な森林経営を推進するための共通の基準・指標の作成を開始することに合意し、1995年に7基準67指標を採択しました。

2003年に、参加12カ国が7基準67指標に基づき、それぞれの国の森林の状況等を取りまとめた「第1回国別森林レポート」を公表しました。

※2009年に基準・指標の改訂が行われ、現在は7基準54指標となっています。

※モントリオール・プロセスは法的な拘束力のない、ボランタリーな国際的な取り組みであることが特徴です。

● 基準・指標とは

基準・指標とは、森林・林業の置かれている状況を科学的かつ客観的に測定・分析・評価する「ものさし」で、7つの基準があり、それぞれに指標が示されています。

① 生物多様性の保全

② 森林生態系の生産力の維持

③ 森林生態系の健全性と活力の維持

④ 土壌及び水資源の保全と維持

⑤ 地球的炭素循環への森林の寄与の維持

⑥ 社会のニーズに対応した長期的・多面的な社会経済的な便益の維持及び増進

⑦ 森林の保全と持続可能な経営のための法的、制度的及び経済的な枠組み

● 日本の取り組みは?

モントリオール・プロセスへの参加により、日本では持続可能な森林管理に関する様々な取り組みが始まりました。
以下に、特に重要な3つの取り組みを紹介します。

▼モントリオール・プロセス事務局の運営

2007年からは、それまでカナダがつとめていたモントリオール・プロセス事務局を引き継ぎ、日本の林野庁(森林整備部 計画課 海外林業協力室)が事務局を運営しています。

モントリオール・プロセスに参加する12カ国の意見を取りまとめるという大変重要な役割を担っており、森林・林業分野における国際的な取り組みにおける日本の位置付けを高めています。

▼日本版森林認証制度(SGEC)の創設

2003年に、モントリオール・プロセスの基準・指標を基本として日本の森林認証制度である、SGEC認証制度(エスジェック)が創設されました。

2016年には、国際的な森林認証制度であるPEFCとの相互承認が認められたことから、持続可能な森林管理に向けた日本の取り組みが、より広く世界にアピールされることとなりました。

【参考】
「今、「森林認証」が熱い!」
(一社)緑の循環認証会議(SGEC)

▼森林生態系多様性基礎調査(日本版NFI:National Forest Inventory)の開始

持続可能な森林管理を行うための方法を検討するためには、時系列的かつ詳細に森林の状態を把握する必要があります。

そのため日本では、全国の森林を対象とした森林調査を1999年より開始しました。これは、全国に約15,000箇所設定された標本調査点を、5年を1サイクルとして調査する大規模な調査です。2016年現在、調査は4サイクル目に入っており、これまで分からなかった森林の動態が次々に明らかになっています。

● これからどうなるの?

モントリオール・プロセスの取り組みが始まり20年を迎え、日本では持続可能な森林管理のための基盤が整ってきています。

ハタチを向かえ、成熟してきた取り組みを、今後どのように発展させていくかが注目されています。

 

日本が主導する国際的な取り組みを理解して、世界にアピールしていきましょう!